素人の耳で聴く吹奏楽コンクール

素人の耳で聴く吹奏楽コンクール:演奏、評価、そして生徒たちの心

 

演奏の多様性と地域色

 

トランペットではドの音しか出せない私ですが、今年も吹奏楽コンクールで数多くの素晴らしい演奏を聴く機会に恵まれました。

金、銀、銅と順位はつきますが、それぞれの学校の演奏からは、そのバンドが持つ独特な雰囲気が強く伝わってきます。特に、東北の学校の演奏には、昨年同様、常に「ハッ」とさせられるような創意工夫や斬新な表現が感じられました。

また、今年出場していた沖縄県の学校は銅賞でしたが、その演奏は沖縄らしい明るい音色が際立っており、非常に印象的でした。


 

審査基準と評価の変遷に関する考察

 

以前は、吹奏楽の審査基準はオーケストラのそれとは異なり、独特なものだと漠然と考えていました。そのため、私の聴いた評価と実際の審査結果が一致しないことがよくありました。

しかし、最近になって、私の評価と審査結果が一致するケースが増えてきました。これは、音楽がオーケストラも吹奏楽も等しく「音楽」として評価されるようになったのか、あるいは、私自身の聴く耳が肥えてきたのかは定かではありません。

 

演奏の細部と指導者の影響

 

 

金沢桜丘高校の演奏と上位校との比較

 

地元の金沢桜丘高校の演奏は、安定しており、いつも通り高いレベルにあると感じました。しかし、上位校、特に終盤に登場した東京や関東の代表校の演奏を聴いた瞬間、「今年は銀賞かもしれない」と予感しました。昨年のコンクールで常連の柏市立柏高校ですら銀賞だったことを考えると、全国レベルの競争は一瞬たりとも気が抜けないものだと痛感します。

 

安嶋先生の音楽解釈と緻密な指導

 

安嶋先生の音楽は、常に繊細で、曲の深い理解と表現したい意図が聴衆によく伝わってきます。特に課題曲Vの組み立て方は秀逸でした。

他の学校の課題曲Vの演奏を聴いた際、チューバやユーフォニアムの音が過剰に大きく、全体のメロディーラインを邪魔していると感じた場面がありました。安嶋先生が以前、「ファインチューニングのためにホール練習を多くする」とおっしゃっていたのは、こうした音のバランスを極限まで突き詰めるためだったのだと深く納得しました。

 

楽器ごとの役割と成長への期待

 

ステージ中央の一番右側で演奏していたわが子のトランペットソロは、相変わらず大人しい表現だと感じました。この点を課題として認識していたため、今年の夏には日野皓正とオーケストラ・アンサンブル金沢のコンサートに連れて行き、刺激を与える試みをしました。

一方、昨年に引き続き大役を担ったオーボエの演奏には心から拍手を贈りたいです。情感豊かに「歌っている」表現は、オーボエの持つかっこよさを最大限に引き出していました。

昨年、銀賞という結果に涙をのんだ他の学校の気持ちを深く理解できたことでしょう。この経験を糧に、また一年間練習を積み重ね、来年こそは金賞を獲得してほしいと心から願っています。


 

高校生にとっての吹奏楽の真の目的

 

最後に、高校生が吹奏楽に打ち込む真の目的はどこにあるのか、深く考えさせられる出来事がありました。

表彰式の冒頭で、出場した全ての指揮者に対し指揮者賞が渡される際、客席の生徒たちから「先生大好き!」といった感謝と愛情のこもった声援が送られました。

高校生はアマチュアですが、この瞬間に見えたのは、指揮者と演奏家(生徒たち)との強固な信頼関係こそが、彼らの音楽活動の最も重要な要素だということです。

生徒たちにとって、金賞という結果以上に価値があるのは、愛する先生から「今日の演奏でヨシ」という言葉と、音楽家として認められることなのではないかと強く感じました。