2000年、イスラエル移住を考えた理由:日本の「知財」の壁
今から2000年頃、私はイスラエルへの移住を真剣に考えた時期がありました。
その理由はシンプルです。私が持つ特許が、日本では売れないという現実があったからです。
日本の「特許の壁」と私の実績
これまでに約50件の特許出願を行い、そのうち10件を売却することができました。打率でいえば2割です。これは国内の特許売買としては非常に高い水準かもしれませんが、事業として見た場合、特許の価値を現金化することの難しさを痛感しました。
一方、イスラエルは異なります。彼らは、自国の技術や製品を世界中に売るために、各大使館が積極的に機能しています。世界規模の展示会である「テレコム・イスラエル」の参加企業を世界中から募るなど、国を挙げて知財の流通と活用を推進しているのです。
なぜ、日本では特許が売れないのか?
問題の根底には、日本の産業構造があります。
日本は昔ながらの「加工貿易」が主流です。つまり、原材料を仕入れて加工し、製品化して輸出するビジネスモデルです。
これは、極論すれば、欧米人が考えたアイデアやコンセプトに基づいたものを、日本人が高い技術力で製造し、工賃を稼いでいる構造と変わっていません。
パソコン、インターネット、テレビ、自動車など、知財の分野を深く扱うと、この構図が今も続いていることがよく分かります。大昔の中学校の教科書のような話に聞こえるかもしれませんが、これが現状なのです。自ら新たな価値を生み出すというケースが、相対的に非常に少ないのです。
💡 アイデアが現金化される場所
革新的なアイデアを持つ人は、自身の仕事がしやすい環境を選ぶでしょう。
かつて、日本を離れてシリコンバレー(サンノゼ)に移住した方にお会いしたことがあります。私よりも遥かに率直に、この国の知財に対する姿勢を語る人でした。
アイデアを確実に現金化するには、製品化して市場で売る必要があります。そのためには、メーカー側がまず「知恵の価値」を正当に評価する必要があります。
知恵の価値を認める企業には、新しいアイデアがどんどん集まり、結果として付加価値の高い製品が生まれます。そして、その企業は売上だけでなく、利益率も高くなるのです。
今後は、考える人(発明家)とメーカー(製造者)の間で、より健全な分業体制が構築されることが、日本の産業界にとって不可欠だと強く感じています。
