発明家は一人でいるのが良い。

発明と孤独な創造

 

尊敬する発明家がいます。その方は、家族があるのですが、アパートで一人暮らしをしています。なぜでしょうか。

発明という仕事は、深く、長く思考を巡らせる必要があるため、誰かに邪魔されると、それまでの思考の糸口が切れてしまい、また最初から組み立て直さなければなりません。公私の区別なく、24時間同じことを考え続けるため、「何時から何時までが仕事」というような時間の区切りはつけられないものです。

また、他人の意見を聞くことは、思考の妨げになることもあります。自分の考えがまとまる前に他人の考えに触れてしまうと、それが雑音となり、純粋な発想の妨げになります。アイデアが完全に固まってから他者の意見を聞くのは良いのですが、思考の途中で聞くと、良くない影響を及ぼすのです。

 

独創性と他者との比較

 

発明においては、まず自分のアイデアを完全に構築することが最も重要です。その後で、他の人の考えや既存の資料、例えば特許などを確認するのが良いでしょう。自分の考えがより優れている場合もあれば、他者のアイデアの方が優れている場合もあります。

他者の特許や資料を調べてみると、自分がたどり着いたのと同じような思考の軌跡が見て取れることがあります。しかし、ある分岐点に差し掛かると、考え方が分かれることに気づきます。そのとき、「この人はここで素晴らしい判断をしたんだな」と感心したり、「この人はここでこの問題を乗り越えられなかったのだな」と気づいたりします。

同じテーマに取り組んでいても、他者と自分とで異なるアイデアにたどり着くという点は、この仕事の非常に面白いところだと思います。